初めての退職で、何から始めれば良いか分からず不安を感じていませんか？ 退職届は、会社に退職の意思を正式に伝えるための重要な書類です。 しかしいざ書こうとすると、書き方やマナーがわからず、どうすれば正しく退職届を書くことができるのか、悩む方も多いのではないでしょうか。

この記事では、退職届の基本から、手書きとPCそれぞれの書き方、封筒の準備、提出方法まで、退職に必要な情報を網羅的に解説します。 例文やテンプレートもご用意しているので、初めて退職する方も、以前の退職から間をおいて再度退職する方も、安心して退職準備を進められます。 この記事を読めば、退職に関する不安を解消し、円満な退職を実現できるでしょう。

1. 退職届の基本：退職理由の書き方/退職願・辞表との違い

退職届は、退職の意思を会社に正式に伝えるための書類です。 会社は、従業員から退職届を受理することで、退職の手続きを開始します。 ここでは、退職届の基本的な知識として、退職理由の書き方、退職願・辞表との違いについて解説します。

退職理由の書き方

退職届には、退職理由を記載する必要があります。 退職理由は、自己都合退職と会社都合退職で書き方が異なります。

自己都合退職の場合

自己都合退職とは、個人的な理由で退職する場合を指します。 例えば、「転職」「結婚」「引越し」「キャリアアップ」などが挙げられます。 自己都合退職の場合、退職理由は具体的に書く必要はありません。 「一身上の都合により」と記載するのが一般的です。

（例文）
私事、この度、一身上の都合により、
勝手ながら来る〇年〇月〇日をもって退職させていただきます。

会社都合退職の場合

会社都合退職とは、会社の都合で退職する場合を指します。 例えば、「倒産」「部署・事業所の廃止」「退職勧奨」「移転による通勤困難」などが挙げられます。 会社都合退職の場合、退職理由を具体的に記載することが重要です。
退職届に記載した退職理由は、会社が発行する退職証明書や離職証明書に記載される離職理由の根拠となります。これらの証明書は保険の給付条件に影響する場合があります。 退職理由を会社都合とする場合は、事前に会社と十分に協議することをおすすめします。 弁護士や労働基準監督署などの専門機関に相談することも検討しましょう。

（例文）
貴社、（退職理由）により、
来る〇年〇月〇日をもって退職させていただきます。

退職願・辞表との違い

退職に関する書類には、退職届、退職願、辞表の3種類があります。 それぞれの違いを理解しておきましょう。

• 退職願：退職を希望する意思を会社に伝える書類です。会社に退職を願い出るもので、会社の承認を得る必要があります。
• 退職届：退職が確定した後、退職の意思を会社に正式に通知する書類です。退職願とは異なり、基本的に会社の承認は不要で、受理されれば退職に伴う手続きが開始されます。
• 辞表：役員や公務員など、役職のある人が辞任する際に提出する書類です。一般社員は基本的に使用しません。

一般社員が退職する場合は、退職願または退職届、もしくはその両方を使用します。両方を使用する場合は最初に退職願を、その後に退職届を提出します。なお、退職願は提出が必須というわけではありません。退職の意志の強さを表したい時、退職意志を明文化し証拠として残しておきたい時などに有効です。

また、 就業規則で退職届や退職願の提出が定められている場合があるので、事前に確認しましょう。 特に定めがない場合は、退職の意思が固まっている場合は退職届、退職を迷っている場合は退職願を提出するのが一般的です。 ただし、会社によっては退職届と退職願を区別していない場合もありますので、事前に上司や人事担当者に確認することをおすすめします。

2. 手書き vs PC：状況別の書き方と退職届テンプレート

退職届は、手書きとPCのどちらで作成しても法的な効力に違いはありません。 しかし、状況や会社の慣習によっては、どちらで作成するのが適切か異なります。 ここでは、手書きとPCそれぞれの書き方と、状況別の選び方、テンプレートについて解説します。

手書きの退職届

手書きの退職届は丁寧な印象を与え、退職の意思をより真剣に伝えたい場合に適しています。 特に、長年勤めた会社や、伝統を重んじる会社、上司に直接手渡したい場合などは、手書きを選ぶと良いでしょう。

手書きの退職届の書き方

• 用紙：白いA4またはB5サイズの便箋を使用します。柄のない無地のものが最も適しています。罫線が入っていても問題ありませんが、シンプルなものを選びましょう。
• 筆記具：黒色のインクのボールペンまたは万年筆を使用します。鉛筆や消せるボールペンは使用しないようにしましょう。
• 書式：縦書き、横書きどちらでも構いません。

PC作成の退職届

PC作成の退職届は、手軽に作成でき、修正も容易なため、忙しい方や、退職手続きをスムーズに進めたい場合に適しています。 特に、退職日が迫っている場合や、書式に自信がない場合は、PCで作成すると効率的です。

PC作成の退職届の書き方

• ソフト：WordやPagesなどの文書作成ソフトを使用します。
• 用紙設定：A4またはB5サイズ、余白を調整します。
• フォント：明朝体やゴシック体など、一般的なフォントを使用します。
• 書式：縦書き、横書きどちらでも構いません。

退職願・退職届の記載内容

• 記載内容：
  1. タイトル：「退職願」と冒頭に記載
  2. 宛名：代表取締役社長名と会社名を記載し、敬称として「殿」を使用（縦書きの場合は文末に、横下書きの場合は日付の後に記載）
  3. 差出人：所属部署名、氏名を記載し、氏名の下に捺印（シャチハタは不可、認印が望ましい）（縦書きの場合は宛名の前に、横書きの場合は宛名の跡に記載）
  4. 退職理由：自己都合の場合は「一身上の都合により」、会社都合の場合は具体的な理由を記載
  5. 退職の申告：退職願の場合は、あくまで退職の願い出なので「退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」と記載します。退職届の場合はあくまで退職の通達なので、「退職いたします」と記載します。
  6. 退職日：退職の申告の後に「〇年〇月〇日」と記載
  7. 提出日：退職届を作成した日付を記載（縦書きの場合は差出人の前に、横書きの場合は宛名の前に記載）

退職願・退職届のテンプレート

基本的にWord形式で提供されていることが多いです。「ダウンロード」と書かれたボタンを押すと、ダウンロードすることができます。サイズや縦書き・横書きに分けてテンプレートが作成されているので、希望するものを選びダウンロードしましょう。

状況別：手書き vs PC 選び方

状況	おすすめ	理由
時間に余裕がある	手書き	丁寧な印象を与え、感謝の気持ちを伝えやすい
時間がない	PC	手軽に作成でき、修正も容易
会社に手渡したい	手書き	直接渡すことで、誠意が伝わりやすい
郵送で提出する	PC	郵送の場合、手書き・PCどちらでも可
フォーマルな印象を与えたい	手書き	より丁寧で、かしこまった印象を与える
簡潔に済ませたい	PC	形式的な書類として、スムーズに手続きを進めやすい
手書きに自信がない	PC	誤字脱字の心配がなく、修正も簡単
会社の慣習が不明	PC	一般的なPC作成で問題ない場合が多い。事前に確認できれば手書きも検討
パート・アルバイトで退職を考えている	どちらでも可	基本的に不要ですが、企業によっては必要な場合があります。

迷った場合は、PCで作成し、印刷後に署名捺印を自筆で行うのがおすすめです。

3. 退職届の封筒：書き方・折り方・入れ方

退職届を入れる封筒にもマナーがあります。 封筒の選び方、書き方、折り方、入れ方を守ることで、最後まで丁寧に退職手続きを完了させましょう。

封筒の選び方

• 種類：白い無地の封筒を使用します。郵便番号枠がないものを選びましょう。
• サイズ：退職届の用紙サイズに合わせて選びます。A4用紙の場合は長形3号、B5用紙の場合は長形4号が一般的です。
• 素材：無地の封筒であれば、特に制約はありません。

封筒の書き方

表面

• 中央：「退職届」または「退職願」と縦書きで記載

裏面

• 左下：所属部署名、氏名を記載
• 封入口：封入口をのりで閉じた後、「〆」または「緘」を記載します。

退職届の折り方・入れ方

• 折り方：退職届は縦三つ折りにします。
  • 縦三つ折り：書類を3等分 にして折ります。三つ折りの真ん中部分に向かって上下を折りこみます。
• 入れ方：封筒の裏面から見て、退職届の右上部分が封筒の右上にくるように入れます。

提出方法

退職届は、基本的に直属の上司に手渡しします。 手渡す際は、静かで人目がきにならない場所で、はっきりと退職の意思を伝えましょう。 上司が不在の場合や、在宅ワークの場合は、郵送で提出しても問題ありません。 郵送する場合は、普通郵便ではなく、配達記録が残る書留や簡易書留を利用すると安心です。

### まとめ

この記事では、退職届の書き方について、基本から封筒マナー、提出方法まで解説しました。 初めて退職する方も前回の退職から間が空いた方も、この記事を参考にすれば、自信を持って退職届を作成し、円満な退職を実現できるはずです。

退職は、新たなスタートを踏み出すための大切なステップです。 不安な気持ちもあるかもしれませんが、準備をしっかり行えば、スムーズに退職手続きを進めることができます。 あなたの新しい職場での生活が素晴らしいものになるよう応援しています。