集団で決定することがミーティングの成功を生むのか?「集団極性化」の危険性|ビジネス心理学

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企業のグローバル化が進むなか、長い会議や発言者の少ない会議など……いわゆる昔ながらの日本の会議というものが物議を醸しています。あるデータによれば、日本では1ヶ月に平均16時間もの会議が行われていることが明らかになるなど、生産性についての課題が様々なメディアで取り上げられています。

メンバーの意見を聞き、まとめていくことで優れた結論につながると信じられているからこそ、多く開かれるミーティング。しかし、集団で決定するということが本当に最善の結果につながるのでしょうか?

今回はミーティングなど、集団で重要事項を決定する際の注意点とその回避方法についてご紹介します。

「集団極性化」とは異常に極端な結論が承認されてしまうこと。

実はミーティング=集団で話し合う会議を行う際には、「極端な結論」に至る可能性が高くなる危険性を知っておく必要があります。ここで一つの例を挙げたいと思います。

あなたの働く会社で、新サービスのネーミングを決定するミーティングを行うとします。メンバーは活発に意見を発言します。そのなかで多く挙がったのは「クール」や「すごい」や「超」など、強調する言葉をつけたいという意見。あなたは心の中で「いやいや、それはさすがにないだろう」と思っていても、全体の強い方向性が感じられ反論しにくい雰囲気。

ついには「サービス名は”超クールウルトラ神すごいサービス”でいいよね!これくらい攻めたほうが目立つし!」などと思っていなかった方向へ……。しれっと「神」なんてワードも付け足されています。

極端な例ですが、このように“通常であれば考えられない極端な結論に至ってしまうこと”を「集団極性化」と言います。この「集団極性化」が起こると、極端な意見に集団の方向性が寄ることで、他の合理的な意見が排除されやすくなったり、考慮に入れられなくなったりなど、集団で考えることの多様性が活かされない結果につながる可能性が高くなります。

また、リスクを取ることに結論が寄りやすくなると言われています。この現象の理由として以下の3点が挙げられます。

・集団内で持っている意見の方向性が明らかになり、一つの方向に意見がまとまることで、より極端な意見も受け入れられる。

・集団で議論するため、責任の所在がうやむやになり、極端な意見に耳目が集まることでそれに引きずられやすくなる。

・討議の中で多数派意見が選ばれるべき証拠が多く提示されることで、それをさらに極端にした結論も受け入れられる。

会議の後、しばらく時間を置いて改めて考えてみたら結論に「あれ?」と思った経験をお持ちではないですか?それはもしかしたらこの集団極性化現象によるものかもしれません。

集団極性化を回避するには?

気になるのは「これを回避する手段はないの?」というところ。残念ながら特効薬は存在しませんが、いくつかの点について気をつけるだけで回避できる可能性が高くなります。

①各自が「集団極性化」が起こりうることを自覚する

この現象が起こりうることを自覚していれば、議論が白熱したときでも冷静でいられます。集団から離れた視点をもって理論が大きく飛躍していないか観察するように努めましょう。

②組織に多様性(ダイバーシティ)を確保する

一つの集団内に様々な考えをもったメンバーを参加させることで、様々な角度から物事について批判検討することができるので極端な意見に凝り固まることなく判断ができます。

③同調を強要しない

これはそれぞれが責任をもって討議に臨むということにつながります。納得できない部分はその場で洗い出し、反論を許容する風土を作り上げましょう。議論の場では立場の上下関係なく、当事者意識を持って参加することが大切です。

優秀な人が集まれば、それでいつでも合理的な決定がくだされるわけではありません。集団極性化が起こりうる、と頭に留めておくことで冷静な心をキープしたまま活発な議論を展開していけるようになるでしょう。

多様性を活かせる環境づくりを

生産的な議論を行うには、それぞれのメンバーの持っている意見や考えを遠慮なく発信し合える環境をつくりあげていくことが重要です。その中でメンバーが当事者意識をもって会議に臨むことで、それぞれの意見を活かした決定に繋げることができるはずです。集合知をうまく使って最善の判断をしてくださいね。

 

参考:3M 仕事に関するアンケート
http://www.mmm.co.jp/office/post_it/meetingsolution/reports/result_04.html

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