今や日本人のほとんどが使っているコミュニケーションアプリ「LINE」。そのサービスを運営するLINE株式会社で、史上最年少の29歳(就任時28歳)という若さで執行役員を務める人物がいます。
二木祥平さんは、2015年にLINEへ入社して以降、多岐に渡りプロダクトを牽引してきました。これまでどのような経験やキャリアを積んできたのか、二木さんの仕事への向き合い方について詳しくお話を伺いました。
〈今回お話を伺った方〉
二木 祥平|にき・しょうへい
LINE株式会社 執行役員・LINE企画センター・ビジネスプラットフォーム企画室 室長
慶應義塾大学経済学部を卒業後、リクルートに入社。企画ディレクターとして大規模プロジェクトのディレクションや、新サービスの立ち上げに参画。2015年にLINEへ入社して以降、『LINE Messaging API』の公開や公式アカウントのリニューアルを推進するなど、企業向け商品の企画を担うチームを率いている。
自身でプロダクトを作りたい。熱量高めに仕事を動かした
― 二木さんは新卒でリクルートに入社されています。その経緯についてお聞かせください。
大学生のはじめの頃は、経済学部に入ったこともあり、卒業後は漠然と外資系の銀行などに就職しようかと考えていました。そんな中、大学1年生の冬にあるイベントでリクルートの方と知り合い、インターンとして参画するようになったんです。そこではアドネットワークビジネスの立ち上げをしている真っ最中で、その時に初めてインターネットビジネスとの繋がりを持ちました。
その職場ではインターネットを大好きな人がたくさんいて、プロダクトが日々進化していく過程を目の当たりにし、卒業後はこういう世界で働きたいと思うようになりました。グローバルな企業と肩を並べて戦えることがすごく刺激的でしたし、業界全体の変化も早い。自分に向いていると感じて就職先を考え直しました。
― では、就職活動はリクルート一択だったのでしょうか?
いえ、なんだかんだ最後は広告代理店、外資系のコンサルティングファーム、そしてリクルートで迷っていました(笑)。
ちょうどその時にリクルートの人に言われた「自分が“勝てない”と思う人がいる場所に行った方がいい」という言葉は、今でも印象に残っています。現に多くのリクルート社員も紹介いただいて、「この人やばい」「勝てる気がしない」って感じることが多く、こういう人たちが自ら選んで働いている会社に行きたい、と思って最終的にリクルートに決めました。
― リクルート時代はどんなお仕事を?
1年目は結構生意気な新入社員だったと思います(笑)。エンジニア研修後の最初の仕事はリリース前機能の受け入れテスト。でも数日で飽きてしまいました。そこで当時の上司に相談すると、「与えられたミッションは3割くらいのリソースでこなして、空いた時間で好きなことに挑戦しなよ」と言われ、いろいろなブラウザ拡張機能を駆使して半分くらいの時間でテストが終わるようになりました。システムのテスト作業をやっていく中で先輩のいろんな企画書を見る必要があって、こういうところでバグが出るのかあというのが学べて、今振り返ると、とても大切な時間だったなと感じます。
その後「余った時間で企画も開発もやりたい」と上司に伝えると、他の企画部署や開発の外注先と調整してくれて、自分で企画を考え、外注先に行ってコードを書いて、自社に戻ってテストをする…というような一人プロジェクトを繰り返す日々に。そのおかげで、プロダクトを作る際のプロセスが理解できましたね。当時の上司には本当に感謝しています。
― プロダクトを作るというモチベーションがすごいですね。
もちろん失敗もありました。あるタイミングで仕事のピークが複数被ってしまって、気づいたら一週間ほど入院していました。身体が悲鳴を上げているのにも気づかず働き続けてしまったんです。プロジェクトもずるずる遅延し、さすがにこれは無理だと思い、いろんな人に助けてもらいました。
「無理です」「できません」と言うのが嫌いな性分でしたが、下手に「できます」と言うよりも、自分のキャパシティや状況をしっかり伝えた方が、結果的に相手の信頼度は高まり、アウトプットもよくなるのだと実感しました。1人で黙々と仕事を進めるのではなく、リスクを予測し、周りを巻き込みながら進めていく大切さに気づくことができた良いきっかけだったと思います。

軸をぶらさずに、より挑戦できる環境に魅力を感じLINEへ
―2015年にはLINEに転職されています。きっかけは何だったのでしょうか。
リクルートでは大小さまざまなプロダクトに携わることができたので、その次は何に挑戦しようか、社内外を問わず広い視野で次の挑戦を探していました。そんなとき、LINEで働く大学時代からお世話になっていた方に声をかけていただいたのがきっかけです。
どの会社、というよりかは、興味の持てるプロダクトベースで次の仕事を選ぼうと考えていたので、結果的にプロダクトに興味を持てて、かつスピーディーにプロダクトを作ることができる環境が整ったLINEへの転職を決めました。LINEでもプロダクトマネージャーとして求められていることは前職とほとんど変わらなかったので、なんとなく「異動」の感覚に近かったです
― 転職後は、どんなプロダクトを手がけられたのですか?
最初は流行りの技術を使って何か面白いことやろうぜという、なんでもできる部署に配属されました(笑)。入社当時はBeacon元年だと言われていて、「LINE Beacon」というプロダクトを立ち上げました。導入している店舗や場所などに近づくと、LINE経由で商品情報やクーポンなどが届くシステムです。その後は「Messaging API」の一般公開や「LINE公式アカウント」など、LINEのユーザーと企業・サービスがチャットで気軽にやりとりでき、予約や問い合わせ、時には郵便物の再配達ができるなど、チャットによって人とサービスがお互い親近感を持てる世界を目指すプロダクトを一貫して手がけています。
― プロダクトリーダーとして、どのようにチームを牽引してきましたか?
LINEは現場主義かつプロダクトを作るためのパーツがすべて社内に揃っています。なので、自分の企画を宣伝して仲間集めするのを意識しました。自分の企画に対して、エンジニアやデザイナー、法務などの方々が少しでも時間を割いてくれるように社内営業をするのも大事な仕事のひとつだと思ってやっていましたね(笑)。
チームは自分たちで作るものという感覚がありましたし、そこはLINEのカルチャーと自分自身の考えがマッチしていて、とてもやりやすかったです。さまざまな得意分野を持ったプロジェクトメンバーを巻き込むほど、担当プロダクトが磨かれていくプロセスはとても学びになりますし、結果いいプロダクトづくりにつながっています。
興味・関心は自分で育んでいくもの。日々学ぶことは多い
― 2019年1月1日付けで執行役員に就任されています。その功績はどこにあると思いますか?
大きいプロジェクトが好きで積極的に挑戦し続けてきたので、そこが評価されたのかもしれません。あとは、僕の興味の幅が広いという点もあるかもしれません。ものづくりは、結局どれだけ多くの観点でそのプロダクトを考えられるかが重要です。軸はぶらさず、ビジネスや開発などにも興味の幅を広げていたので、結果、多くの観点からプロダクトを考えることができるようになりました。
興味は、待っているだけでは湧いてきません。自分で積極的に見つけていくものだと思いますし、その興味が学習意欲に繋がります。仕事での経験も学習の効率を高める手段の一つだと思うので、次の仕事にダイレクトに生きるというより、次の学習をしやすくするための一つの過程だと僕は思います。興味を見つけて学習し続けることは本当に大切ですね。
― 執行役員に就任されたときはどんなお気持ちでしたか?
プロダクトの現場から遠ざかりたくなかったので、はじめはモノづくりへの手触り感を持ち続けられるか少し不安でした(笑)。一方で、特に指示される立場でもないので、何に時間を使うかは自分次第だなというのと、より大きいプロダクトを動かせるようになるというのもこの役職の強みだなと思い、次第に何を仕掛けようかなというワクワク感が強くなりました。
LINEは「この役職はこう動くべき」という決まりやルールが一切ありません。ですので、せっかくこの役職に就いたからには、代表の出澤をはじめ、今までよりも広い視点で組織やプロダクトを考えている人たちの思考をどんどん盗んでいこうと思いました。そういう人達の思考回路を知ることができるのは一つのモチベーションになりますし、実際想像以上に視座が高くて、日々勉強しかありません。
― 二木さんの今後の目標を教えてください。
LINEを使って人とサービスの距離をより近づけたい、友だち同士でLINEするかのうように、人と企業・サービスがLINEで気軽にコミュニケーションできる世界を作りたいという気持ちは入社当時から変わっていません。これは会社のコーポレートミッションである「CLOSING THE DISTANCE」とも同じですが、心底そういう世界を目指したいと思っていますし、LINEだからこそ実現できるビジョンなのではないかと思います。
― 最後に、これから転職をしたい方にアドバイスをお願いいたします。
自分の興味関心をじっくり考えた上で転職活動をしてほしいと思います。自分の軸が定まっていなければ、たとえ場所を変えたとしても結局は上手くいかなくなってしまいます。うまくいかないときに“場所(場所)”に責任を転嫁するクセがつくのもよくありません。自分のできること・やりたいことを把握し、今の会社で実現可能なのかどうかは再考してほしいですね。そこまで考え、やはり場所を替える必要があると感じたならば転職は良いことだと思います。
定期的に立ち止まって、自分のできるようになったこと(スキル)を棚卸しする時間も大切です。インターネット上で(特に英語で)自分の職種を検索してみると、自分と近しい職種の人がその職種のスキルを言語化した情報が出てきます。そうやって自分のできるようになったこと、まだできてないことを一般化していけると、徐々に自分の武器が認識でき、進むべき道が見えてくるのではないでしょうか。
― 素晴らしいメッセージ、ありがとうございました!
text:Tomoka Nakano(RhythBiz)
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