独身、DINKS、子どもあり。ライフスタイルによって支出はどう変わる?

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時代の流れとともに、「結婚しない」「子どもを持たない」など、多様な生き方を自らの意思で選ぶ人が増えきました。では、「人生100年」と言われる今、この先自分がとった選択によって、どのような支出が生まれるのでしょうか。ライフスタイル別の支出の違いを、ファイナンシャルプランナー梶原真由美さんにうかがいました。

梶原 真由美| かじはら・まゆみ

1976年生まれ、株式会社マネーライフプランニング所属、お金を増やす専門家。40歳で出産、夫と長女の3人家族。26歳の時にスノーボード追突事故で両足骨折する。賠償金で大金を受取るも、当時お金に関する知識が何もなく、FX投資などに手を出し、あっという間に使い果たす。他の人には同じ失敗をしてほしくないとの想いで、30歳の時に、お金のアドバイザーであるFPへ転身。

■お金の面からみた、ライフスタイルが多様化している理由とは?

まずはじめに、ライフスタイルが多様化している背景を、お金の面から見てみましょう。梶原さん曰く「女性の経済的自立」が理由のひとつにあるそうです。

「これまでは“結婚することが当たり前”の世の中でしたが、”男女雇用機会均等法”が浸透してきたことによって、女性が独身でも経済的に自立して生活していけるようになりました」

男女雇用機会均等法が施行されたのは、およそ30年も前の話ですが、それが浸透してきた結果、女性側に「結婚しない」という選択肢が生まれた、ということですね。

また、ふたつ目の理由として、「“子どもにはお金がかかる”という先入観を持っている人が多すぎるのではないか」と推測しています。

「よく“子どもひとり育てるのに◯千万円”という説を見かけますが、必ずしもその金額がかかるわけではありませんし、子どもにお金をかけることだけが必ずしも正しいわけでもありません。しかし、このようなマスコミの報道などから“子どもにはお金がかかる”と思い込み、“子どもを持たない”という選択をする人が増えているのではないでしょうか」。

■お金がなきゃ“結婚も、子どもも持てない”という先入観を捨てよう

では、現在独身の男性が、この先、結婚し、子どもを持った場合、独身時代と比べてどれだけ支出が増えるのかを、具体的に見てみましょう。

・「独身」→「DINKS(共働き、子どもなし)」は、むしろ支出は抑えられる

第1回(20代の資産形成 前編~結婚するまでに、いくら貯金すれば安心?~)でも見たように、結婚後の生活については、共働きという選択肢をとることで、支出は単純に2倍にはなりません。子どもが生まれるまでは、むしろ結婚してしまったほうが生活に余裕が生まれるのです」。

・子どもを持つことで教育費分が上乗せ

では、結婚し、子どもを持った場合はどうでしょう。

「子どもを持つことで生まれる、最も大きな支出は“教育費”です。下のデータは、文部科学省が発表している統計です。これを元に、幼稚園から大学までの費用を計算してみると、すべて私立に通わせた場合は”約2,200万円”」、公立・国立の場合は”約760万円”となります」。

<学校種別学習費総額>

表1. 幼稚園から高校までの平均費用

※上記「学習費総額」には「学校教育費」「学校給食費」「学校外活動費」が含まれます。

表2. 大学にかかる平均費用

※4年間総額は、私立:(授業料+施設設備費)✕4年間+入学料、公立:授業料✕4年間+入学料で算出

しかし、ひとえに「私立」と言っても、学校によって学費は異なります。また、大学は文系学部なのか理系学部なのか医歯系学部なのかでも大きく違いが出てきます。

大事なのは、喧伝されているデータに惑わされることなく、“自分の子どもをどの学校に入れたいのか”を具体的にイメージしてみることです。まだ想像がつかないという人は、自分が通ってきた学校の学費で計算してみると、イメージがつきやすいでしょう」と梶原さん。

「結婚同様、教育も、“子どもにどのような教育を受けさせたいか”によって、かかる費用は変わってきますし、そもそも、教育にお金をかけることが子どもの為になるとは限りません。極端な話、お金がなければ習い事をさせなくてもいいんです。世の男性は、結婚や子どもを持つことにハードルを高く持ちすぎているような気がします。例えば、年収400万円同士が結婚しても、世帯収入は800万円です。ひとりで背負い込まず、2人で働けば大丈夫です。一方で結婚相手には子育てや共働きについての考え方を共有出来る相手を選ぶ事が、実は重要かもしれませんね」。

■女性も会社員なら、休業中も収入がゼロになるわけではない

しかし、妊娠・出産をすると、女性はどうしても一時的に働けない時期があります。そこを心配する人もいるでしょう。

<出産にかかる費用(正常分娩)>
妊婦合計負担額:平均505,759円
※公益社団法人 国民健康保険中央会「正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)」より

https://www.kokuho.or.jp/statistics/birth_cost.html

ただこれも、自分たちがどのような出産スタイルを望むかによって変わってきますし、このすべてを自分たちで支払わなければいけないわけではありません。

「出産費用を補うお金としては、出産育児一時金(42万円)がご加入の健康保険から支給されます。また、女性が会社員(条件を満たした非正規社員含む)として働いている場合は、産前・産後休業中は出産手当金、育児休業中は育児休業給付金が支給されます。まったく女性側の収入がゼロになるわけではないのです」。

また、将来、子どもが自分たちの面倒を見てくれる可能性もあります。子どもを持つことが、金銭面ですべてマイナスというわけではありません。

自分がこの先どのようなライフスタイルを望むのかによって、かかるお金は変わってきます。それを叶えるためには、転職もひとつの選択肢かも知れません。人生100年と言われている今、長く働き続けるために、時代の先を見据えて、自分のキャリアと資産を築いていきたいですね。

表1 ※平成26年度子供の学習費調査(文部科学省)http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/1364721.htm

表2
※「私立大学等の平成26年度入学者に係る学生納付金等調査結果について(初年度学生納付金の調査結果概要)」(文部科学省)http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1365662.htm
※「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」(文部科学省)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16F20001000016.html

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