若いうちは、“短期で結果を出す”ことを意識するのが大事。| 慶應イノベーション・イニシアティブ代表取締役社長山岸広太郎氏(後編)

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インターネットに計り知れない可能性を感じ「世の中が変化するどさくさにまぎれたい」という思いで、日経BPから「CNET Japan」編集長へとキャリアを進めてきた山岸さん。後編では、いよいよグリー株式会社設立に至るエピソードや、20代~30代のキャリア形成を考える上で大切なことをお聞きしました。

前編はこちら

山岸広太郎| やまぎし・こうたろう

株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ代表取締役社長。グリー株式会社取締役(非常勤)。
慶應義塾大学経済学部を卒業後、日経BP編集記者、CNET Japan編集長を経て、グリーを共同創業。10年間、同社の副社長として事業部門などを統括。2015年12月、株式会社慶應イノベーション・イニシアティブの設立と同時に代表取締役社長に就任。

手伝いからはじまったグリーの共同創業

―軌道に乗せた「CNET Japan」を離れ、いよいよグリーを共同創業するまでの経緯をお聞かせください。

田中(現グリー株式会社代表取締役会長兼社長)とは、学生時代にインターンをしていたネットエイジで知り会って以来、ずっと仲良くしていました。2004年2月に田中が個人でグリー(当時はSNS)をスタートさせると、あっという間に盛り上がって。

ちょうど僕も、「CNET Japan」が軌道に乗り落ち着いてきた頃だったので、友達として運営を手伝っていたんです。でも、どんどんユーザーが増える中、安定的にサービスを提供していくためには法人化したほうがいいのではないかという流れになり、だったら、僕も手伝うよ、と。

それまでずっと、インターネットサービスの盛り上がりを見てきて、SNSは、検索エンジンやメールと同じくらいのキラーアプリケーションになるだろうという確信がありました。時代を変えるような仕事に関われることはそうそうないですし、田中にも絶大なる信頼を置いていました。

それに、「CNET Japan」1年目の大ピンチを乗り越えたことが自分の中では自信となっていたので、前回の転職よりは不安なく心を決めることができたように思います。

グリーでは、常に“やる人がいないところ”を担当してきました。最初は田中と2人なので、それこそなんでもやりましたし、その後、例えば開発専門のメンバーが入ってきたら、そこは引き継ぎ、今度は広告ビジネスをやる。また広告専門のメンバーが入ってきたら、そこは引き継ぎ、ほかに会社に必要なところをやる。このような形で、どんどん新しい仕事を立ち上げていきました。

学生の発表から世の中を変える可能性を感じた

―こうして共同創業されたグリーは、 2008年12月に東証マザーズに上場、まさに時代をリードする企業へと成長して行きます。現在も取締役(非常勤)として残られつつも、なぜ今、3度目のキャリアチェンジ、ベンチャーキャピタル社長なのでしょうか。

ちょうどグリーが上場した後あたりから、個人的に「寄付」をするようになっていたんです。その中のひとつに、SFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)の学生の卒業研究を支援する「山岸学生プロジェクト支援制度」があります。学生たちの発表を聞いていると、本当に面白くって。大学の研究に、これからの世の中を変える可能性を感じたんです。これまでインターネットによって世の中が変わってきたようなことが、いろいろな分野で起きてくる。それを間近で見るために、大学に関わっていたいと思うようになりました。

その後、大学発ベンチャーから出資の相談を受けたことがきっかけで、投資もスタート。個人での活動だったのですが、あるとき、母校である慶應は、他大学に比べて大学発ベンチャー投資について遅れをとっているように感じたことを先生に話してみたところ、ちょうど慶應でもベンチャーキャピタルを作ろうという話があると。相談にのっていく中で、社長になることを打診されました。グリーには取締役(非常勤)として残りつつも、今はベンチャーキャピタルをメインに活動をしています。

これから先、ビジネスの前線で活躍し続けるために

―これまでのご経験をお聞きし、キャリアの節目節目でチャンスを呼び込み、うまく波に乗られてきたような印象を受けました。働く上で大切にしてきたことはなんでしょうか。

行く先々で“自分の価値をしっかりと出すこと”でしょうか。僕の場合、「世の中が変化するどさくさに紛れたい」という気持ちで誘いにのってきましたが、その場その場で自分の価値を出していくことで、それがまた次につながってきたような気がします。

ただ、いくらいい仕事をしても、自分の殻にこもっていては、チャンスは訪れません。日頃からアンテナを広げ、面白そうだと思ったことは一回広げてみる。そうやって自分の興味関心に合わせて動いていく中で、交流関係が広がり、チャンスに繋がってきたような気がします。今も、政治経済の勉強会などに参加して、アンテナにひっかかるものを増やそうと努めています。

―ご自身の経験から、今まさにキャリアに悩んでいる20~30代に大切にして欲しいことはなんでしょうか。

まず、頑張ること。頑張らないと自分のスキルが蓄積されないし、ビジネスマンとしての競争力がつきません。頑張っているうちに、自分の得意不得意、好き嫌いがわかるようになってきます。また、ただ言われたことだけを無難にこなすだけではなく、例えば他部署の仕事を手伝ってみるなど、一見無駄に思えるようなことをすることも大切だと思います。

副業できるのであれば、副業で頑張ってみるのもいいでしょう。特に20代のうちに、自分を追い込んでがむしゃらに働いて成果を出した、という経験をもつことが何よりも大切だと思います。

―今後も活躍していける人材になるために、必要なことは何でしょうか。

“人生100年時代”と言われる中、ひとつのスキル、ひとつのキャリアでずっと生きていくということは、恐らくできなくなるでしょう。今までは、学校を卒業後、40年くらい働いて引退、という人生観があったかも知れません。しかし今後は、10年働いて、2、3年勉強して、また働く。もしくは働きながら勉強すると言ったように、常に勉強し続けながら自分の仕事を変えていかないと生きていけない可能性が高いです。ですから、学習能力や変化に対する適応力は、間違いなく求められる世の中になると思います。

福澤諭吉先生は『学問のすゝめ』の中で、重要な仕事というのは頭を使う仕事をだから、そういう職業に就くためには学問が必要だとおっしゃっています。産業革命以降、頭を使う仕事の重要性は高まり続けていますが、今後も恐らく変わらない。勉強し続けるということはとても重要だと思います。

―最後に、転職を考えている20代・30代の方々へメッセージをお願いします。

“短期で結果を出すこと”を意識してください。終身雇用の時代は、最初の5~10年くらいは下積みでOKというような風潮があったかも知れません。しかし、転職が当たり前の時代では、ちゃんと短期で結果を出し、その成功体験を積み上げていかなければ、次に行くことができません。

四半期とまでは言わないまでも、1年スパンくらいで自分の成長をしっかりと確認し、早いうちから成長曲線の角度を高く上げておくことが大事です。“短期決戦”という気持ちで、頑張ってください。

text : Yuko Kugimiya(RhythBiz)  photo :Kenei Sato

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